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こころの足跡

こころの足跡

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   雪月花  



                        
   やはらかき春の光に手のひらを翳(かざ)せば青き血もそよぐべし 


  


   息吐けば星々の間に澄みゆきてこの破財者の道暗くせり





   ゆつくりとわが影法師けだもののかたちをなせり花束を抱き





   どこへ行けと誰か告げくれ暮れなづむ道にみどりの靄まとひつつ





   たたかひは遠(と)つ国のこと見上ぐればをみなの脛のごとき三日月





   ましぐらに菜の花群を走れども投げ棄てて来しものは帰らず





   群青の空の容器に顔ひたすこころのかたち洗はれてゆけ





   ひびき合ひやがて失せゆくかなしみのこだまかわれも花に吹雪けり





   いくたりの人と擦れ合ひ行きちがひ紫雲英(れんげ)の畦にひと日居眠る





   てふてふのまとはりてくる手を振りて白き柩の列を見守る





   狂ひたる時計、磁石も春の夜のおぼろにあれば親しかる友





   湧きいづる水は冷たく花浮かべ未生(みしょう)の銀河空を流るる





   雪つもり月皓々と花匂ふ世界をわれは堕ちてゆくのみ






   ひろき










































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